単純に保険料を比較する時代は終わった?

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各業界に見られる価格競争

最近、国内第3位の航空会社が民事再生法の適用を申請しました。
ここまで業績が悪化した理由として、円安や航空機導入に関するトラブルなどさまざまな要因があるようですが、LCC(格安航空会社)との競争の激化もその一つといえるでしょう。

もともと大手二社に価格競争を仕掛ける立場であった同社が、時代の流れとともにLCCから価格競争を仕掛けられる立場に変わってきていました。

次に通信業界をみてみても、昨年7月に最大手のスマホの基本料が安くなりました。
手軽に使える無料SNSを利用する人が増えているので、シェアダウンを警戒しての決定といわれています。

また格安SIMを扱う会社もどんどん増えてきていて、今後さらにスマホの通信料金の競争が激しくなることでしょう。

保険の競争も、変わってきている

このように、交通でも通信でも新しい低価格のサービスが出現しています。

保険にも同じことがいえます。保険各社は、ここ10年ほど保険料の値下げ競争をしてきたといっても過言ではありません。

ところがこのところ、保険各社の動きに変化が起こっています。単に価格競争をするのではなく、日進月歩の医療の変化や少子高齢化に対応するように、保険料を押さえたまま、サービス内容の充実や給付内容の向上に力を入れ始めています。

たとえば医療保険では、昨年ある国内大手生保や外資系大手生保があいついで商品内容を大幅に改訂しました。このような改訂の流れは次のような感じです。

①手術給付金
通常、各社とも88種類の手術とそれ以外の手術で給付内容を分けていますが、この会社は「入院中の手術」と「それ以外の日帰りですむ軽微な手術」に分けました。(外資系1社)
シンプルでわかりやすいですね。

②特定疾病入院給付金
6大(7大)疾病で入院した場合、支払い限度日数の制限なく給付金を受け取れる商品があります。(複数社)
生活習慣病等で長期入院となり、基本の入院限度日数(60日とか120日とか)を超えた際にも安心です。

③放射線治療給付金・骨髄ドナー給付金等
放射線治療や骨髄ドナーの手術の給付金を受け取れる商品があります。(複数社)
がん治療は健康保険がきかず自己負担になるものが比較的多いですが、安心して治療を受けることができます。

医療をとりまく環境変化

保険会社が次々と新商品を出す背景には、次のような医療をとりまく変化があるようです。

①入院日数の短期化
QOL(クォリテイ オブ ライフ)の考え方の浸透と医療技術の飛躍的改善で、10年前に比べて平均入院日数は激減しています。

②先進医療の増加
先進医療によって、がんをはじめ多くの難病の治療(根治)が可能となってきています。
厚生労働省が認定する先進医療は数10万円から300万円位かかりますが、健康保険の範囲外で全額自己負担です。

③がん発見の早期化と、がん治療の進化
(他組織への転移が見られない)原発性のがんの場合、5年相対生存率は90%を超えています。(ただし、肺がんと肝臓がんを除く)
今やがんは不治の病ではなく治せる病気になりつつあります。しかし、治療の中には健康保険がきかず自己負担になるものが多く、高額療養費でも救われないケースがあります。

④介護認定者の増加
「要介護認定」を受けた人は、4年前に500万人を突破し、今後さらに増え続けていくと予想されます。これは入院患者数130万人の3倍以上にあたり、実際に介護サービスを受けている人数も 400 万人を超えています。
いつ自分に介護が必要になってなってもおかしくありません。

保険を選ぶにあたって、このような変化を把握しておくことは非常に大切です。いまや保険料の比較サイトなどだけで、最適な保険を選ぶことは難しくなってきています。

これからの保険選び

たとえば、医療保険の入院日額をいくらにするかで悩んでいるのであれば、前章のような変化を踏まえて、入院日額を増やすよりも健康保険や高額療養費で保障されない範囲を重視する保険を選ぶ手もあります。

仮に、入院日額5,000円の医療保険の保険料が3,000円とした場合、入院日額を2倍の10,000円にすると保険料も2倍の約6,000円になります。

しかし入院日額は5,000円のままで、特定疾病入院と放射線治療、先進医療の特約をつけると、保険料は約4,000円程度です。さらに、3大疾病の際には以後の保険料が不要になる特約も数百円で追加できます。
※保険料は年齢・性別・保険期間・支払期間等によって異なりますのでご注意ください

保険を選ぶ上で、単純に保険料の比較や入院日額を比較する意味は薄れつつあります。保険料の高低だけでなく、幅広い保険知識を元に自分にあった保険に加入することが大切です。

一般の消費者が本当に有利な情報を入手することは容易ではありませんが、そのための解決策の一つとして、医療や保険に詳しいFPに相談することをご検討されてはいかがでしょうか?