月額保険料は若い方が安いが・・・
一般的には、保険は1歳でも若いうちに入った方がお得といわれています。実際に年齢が上がると保険料も上がります。
誕生日が近づいてきて『なんとか誕生日前に契約を・・・』と勧められる話もよくあるのではないでしょうか? ところが、保険料の総支払額については、誕生日を過ぎてからの方が安くなるケースもあるのです。
以前、次のような事例がありました。
28歳女性に医療保険をご提案したケース
[ご提案内容]
保障内容:入院日額5,000円、女性疾病特約3,000円他、三大疾病入院と先進医療の特約を追加
保険期間:終身
保険料支払:月払い、払込期間は60歳まで
この方は誕生日が近づいていて「29歳の誕生日の前に入りましょう」と提案していたのですが、試算してみるとトータルの保険料は29歳になってから入る方が若干ですが安くなりました。
加入年齢 | 月額保険料 | 支払期間 | トータル保険料 |
---|---|---|---|
28歳 | 3,650円 | 32年間 | 1,401,600円 |
29歳 | 3,763円 | 31年間 | 1,399,836円 |
このお客様は、毎月の保険料が安い方がよいということで誕生日前にご加入頂きましたが、このようなケースもあることは知っておいていただきたい情報ですし、提案者としてはお客様にきちんと説明してご理解いただいて良かったと思いました。
トータル保険料が逆転するケース
保険を検討する際には、目先の保険料の比較だけではなく、トータルの支払額も含めて総合的に検討することが大切だということが、先の女性のケースでおわかりいただけたと思います。
それではここで、終身タイプの医療保険に短期払い(一定の年齢までに保険料を払い終わる払い方)で加入した場合の月額保険料とトータルの保険料について具体的に比較してみましょう。
[試算の前提]
A社の終身医療保険。
保障内容:入院日額10,000円
保険期間:終身
保険料支払:月払、払込期間60歳まで
加入者 | 月額保険料 | 支払期間 | トータル保険料 | |
---|---|---|---|---|
男性 | 30歳 | 4,580円 | 30年間 | 1,648,800円 |
35歳 | 5,740円 | 25年間 | 1,722,000円 | |
40歳 | 7,510円 | 20年間 | 1,802,400円 | |
女性 | 30歳 | 4,620円 | 30年間 | 1,663,200円 |
35歳 | 5,550円 | 25年間 | 1,665,000円 | |
40歳 | 7,060円 | 20年間 | 1,694,400円 |
上記表のように月額保険料は年齢とともに上がり、トータルの保険料も原則、年齢と共に上がります。男性の場合、30歳と40歳ではトータル保険料は約16万円、ほぼ1割の差があります。このような傾向は各社ほぼ同じです。つまり、30歳で加入すれば保険料も安く、もし30代のうちに入院や手術があったとしても給付が受けられる訳です。
ところが、よく見ると女性の場合30歳~40歳の月額保険料の差は、男性に比べ小さくなる傾向にあります。したがって、1歳年をとることによる月額保険料の上昇よりも、支払期間が1年短くなる効果の方が大きくなりトータル保険料が逆転する場合がでてくるのです。つまりトータル保険料でみると、必ずしも早く入った方がお得(安い)とはいい切れないということになります。
※上記試算は、短期払いの場合のものであり、終身払いの場合は何歳で死亡するかによって加入年齢によるトータル保険料の大小は変わってきます。
保険にはいつ入るのがよいか?
それでは、医療保険にはいつ加入するのがよいのでしょうか?
今回ご紹介したような事例があるとはいえ、原則は早く入った方が保険料も安くすみますし、そもそも保障がそれだけ早く始まります。また、保険加入前に病気になってしまうと、その後加入できなくなったり、不利な条件が付いたりすることがあります。ですから、保険は必要な時に入るべきで、トータル保険料を下げるために加入を先延ばしにするのは、本来正しくありません。
ただし、誕生日が迫っている状況であれば、慌てて入るのではなく、トータル保険料を比較してみて、あえて誕生日後に加入ということも考えられるかもしれません。
医療保険にしても生命保険にしても、保険は何十年も続く長い契約です。いずれにせよ、保険加入時には、月額保険料の金額だけでなく、トータルでどれだけの保険料を支払うことになるのかということもきちんと確認するようにした方がよいでしょう。