急増する空き家問題
昨今、全国で空き家問題が深刻化し、NHKの特集番組をはじめ、多方面で空き家の急増問題が取りざたされています。
いま、空き家は全国に750万戸あり、5年前に比べて100万戸も増加しました。
歴史的に見ると、1960年代の空き家率はたったの3%でした。
ところが少子高齢化などの影響によって現在は13%、今後も増え続け、2030年には25%くらいに達するともいわれています。
都道府県別にみると、空き家率トップは山梨県 20.53%で、以下、和歌山県 20.18%、高知県 18.89%、長野県 18.37%と続きます。
三大都市エリアでは、大阪府が15位で16.55%、東京都は41位で12.35%、愛知県は42位で12.11%でした。そして空き家率が最も低い県は沖縄県で11.06%でした。
15位の大阪と最下位の沖縄までの差は約5%、これは全国的に空き家が増加していることを示しています。
このように空き家が増加する背景には、少子高齢化と人口減の他に、解体費用がかかることや「更地にすると固定資産税が6倍に跳ね上がる(敷地面積が200平米以下の場合)」という税制上の問題も指摘されています。
街の中に老朽化した空き家が増えてくると、景観上の問題だけでなく、倒壊のリスクや犯罪・火災につながることもあるため、周辺住民の不安も大きくなります。
空き家問題の対策
空き家対策としては、全国73の自治体に空き家条例があり、長期に放置されている住宅は強制的に撤去出来ることになっています。しかし、まだ執行されたことはありません。
もう一つの空き家問題の解決策として、リフォームやリノベーションがあります。まだ使えそうな建物に対して、大規模な改築をすることによって、若者を中心とした世代の新たなニーズをつかみ、需要を喚起して空き家の再生を計ろうというものです。
都心のシェアハウスなどは、その好例のひとつではないでしょうか?
家賃の高い大都市で一人暮らしをすることは、なかなか大変なことです。経済的負担のみならず、友だちが作りにくく、精神的に追い込まれてしまうケースさえあります。
シェアハウスは、そこに目をつけました。従来型のアパートをリノベーション(大規模改修)して、一人あたりの専有スペースのほかに、共有のキッチン・食事スペースなど、住人同士のコミュニケーションが図れる場所を提供することで付加価値を生み出して人気となっています。結果的に住人もオーナーも潤い、空き家も減るという仕組みです。
また、個人の住宅取得においても、中古住宅を購入し、自分好みにリフォームするというケースが増えています。この場合のリフォームの特徴は、以前のように痛んだ箇所を修理するというものとは違い、耐震性や耐久性を高めて設備や内装、場合によっては間取りなども一新して長く住める居住空間を確保することが目的となっており、一軒当たりのリフォーム費用も上昇傾向にあります。
このように住宅建設も、これまでのように何が何でも新築というのではなく、ストックを大切にする考え方が広がり始めています。
フローからストックへ
日本は、右肩上がりのフローの時代から、ストックの時代に入ったといわれています。以前は、土地や住宅の価格が毎年高騰し、もちろん人々の年収も右肩上がりで、争うように住宅を手に入れそうとしました。
その頃は、「住宅ローンの支払いは、3年間も我慢すれば給料が上がって楽になる」「土地は早く買っておかないと、手が届かなくなる」といわれていました。
ところが現在では、このような短期的なものの考え方は影をひそめ、長い目で住宅購入や人生そのもの考える人が徐々に増えてきていますね。
住宅分野においても、新築(フロー)から中古住宅の活用(ストック)へという変化がはっきりと表れてきています。
一方、多くのFPが推奨するライフプランと言う考え方も、フローよりもストックで人生の計画をとらえようとする考え方といえるでしょう。
いまの収入と支出を分析・見直しするだけではなく、将来の子どもの教育や住宅の選択、自分たちの老後を含めて、着実で安心できる計画を無理なく設計していく訳です。
良質なFPは、このような上手なライフプラン設計のご相談をお受け出来ます。